2015年11月7日土曜日

青年海外協力隊の応募書類の書き方~三度目の正直~品質管理編~合格への道~その3

2度の連続の不合格を体験してわかったことは、ぼくの能力と経験、そして当時
ついていた仕事では青年海外協力隊になることが難しいということだった。

青年海外協力隊に合格しないことにはぼくの人生の先が見えないし、なれない
まま年を取った時の後悔が見えて怖かった。

ぼくは、26年度の秋募集に全てを賭け、赤十字の救急法や、ファシリテーション
の講座に参加した。

このまま仕事を続けるよりも、短い期間でも新しいことをはじめた方が、合格へ
近づけると思い、10月からパソコンの学校に3か月間通った。


当時はPCインストラクターで受験するつもりだった。

しかし、要請が発表されると「品質管理」という要請があり、「経営管理」という職
種でも自分のできそうな要請が見つかった。今までの苦労は何だったんだと憤り
を感じつつも、正にラストチャンスにふさわしいと自らをなだめた。

PCインストラクターの中にも興味深い要請があったものの、付け焼刃的な知識し

かないうえに、指導経験の点を突かれたら二の舞になると判断し、上記2職から
選択することに決めた。


異なる職種をまたいで受験することはできない。

いろいろな人にも相談をしたのだが、正直なところこの2つは活動内容がかなり
近く、どうにも決めかねる。

「品質管理」の方が品質管理課に所属していたぼくには響きが良かったが、
要請が一件しかなく、応募者が多数いたらと考えると怖かった。

一方、経営管理は要請が6件あり、あわよくば他の要請でもという甘い期待もで

きた。

悩みに悩んだ結果、針の穴を通すような想いで品質管理で応募することに決め
た。
英語の書き取りをしている女の子
I am reading a book.
それを見て相当な安堵を覚えた
ぼくの英語力は現地の中学生になるか、ならないか程度のレベル















                                 

1.以下について、ご自身の考えを記述してください

(1)ボランティア活動に参加する動機 抱負について記述して下さい

海外旅行で現地の人たちに恩や情を受けて、今でも交流が続いている相手もい
ます。その経験を通し、途上国と人々に興味を持つようになりました。人生の豊
かさが出会いの数で決まると云われるように、今まで海外で得たものはかけが
いがありません。一方、私が両親や周囲に支えられて育って、大学まで卒業で
きたこと、外国に行けることが、いかに恵まれた環境であるかも感じました。いつ
しかそれを還元することと、途上国の人々に恩返しがしたいという気持ちが芽生
えました。それには、私が現地の住民となって地域や人々の抱える問題に一緒
に取り組み、信頼関係を築くことが、一番のお礼になるとの思いで活動に参加し
たいと考えました。


2)ご自身が考えるボランティア活動の意義 目的を記述してください

私自身が地域に貢献する充実感を得られ、地域の方々が住んでよかったと思っ
てもらえればとの考えで、今もボランティア活動に携わっています。日常で触れ
合う機会が稀な年代や背景の方々と、諸問題や考えを話し合い、日常的な会話
からも自らの世界観を広げることができ、お互いに学び、成長ができます。成果
を出すだけでなく、過程を大切にし、活動終了後も関わった人と機関とのつなが
りが続くことも意義だと考えます。そして、活動内容やボランティアそのものが被
支援側に波及し、次は支援者になるなどの活性と循環が住みよい社会の形成
の助けとなります。その気持ちを持ってより多くの人が実践していくことが目的だ
と考えます。


2.選択した職種に関して、次の(1)~(4)の項目について具体的に記述してく
ださい。


(1)この職種を選択した理由


実務経験が発揮できることが最大の理由です。外国から来た多くの人が、日の
技術の高さ、品質に驚きます。そして、ルールを守ること、5Sと改善を祖国に広
めたいと話す人もいます。派遣国のガーナは、現在では作る部分に重き置かれ
ていると思いますが御機構で品質・生産性向上プロジェクトを進めているように、
品質面にも眼が向けられ始めています。生産の拡大や輸出の際、品質は一層
重要視されます。その時期だからこそ、日本の製造業を支えた考えや環境を伝
る醍醐味があります。また地域に密着し、業務を越えた人々との交流もしたい
ので、都会でない場所での活動が理想です。よって同職種と要請は私にうって
つけだと考えます。

(2)この職種に対するご自身の経験実務等、技術適合性セールスポイントを具
体的に挙げ記述して下さい。その際、ご自身の選んだ要請内容に対しての技術
適合性についても触れてください

機械部品の金属加工を主とする工場で、品質管理の仕事に9年半就いていまし
た。一級技能士取得や、何度も社外不良流出を食い止めるなどの実績が評価
を受けてきました。それは検査技術の他、作業環境を整え、現状に満足せず些
細な工夫への試みも理由の一つでした。小さい工場での勤務経験は、活動対象
となる企業と環境や職種が近いため、問題箇所も発見しやすく、改善の提案や
処置が取れると思います。また、働く人の気持ちや立場を理解し、親身になって
接することもできるはずです。改善の基本は整理、整頓の2Sと清掃を加えた3
Sです。必要か不必要なものかを選別し、最低限使用するものを周囲に置きま
た。製品に傷をつけないように机の上にゴムシートを被せたり、作業灯の位置を
調節するための治具を作成したりもしました。既製のパソコン台に加工を施し、
高さの調節をした時など、他の社員への相談や協力を得たものもあります。実
施した改善の多くは、社内にあるものを利用し、加工するなど、お金をかけませ
んでした。要請も予算は十分ではないようですので、アイデアや経験を駆使し、
お金をかけない活動を継承します。また、清掃活動にも率先して取り組み、棚の
下や機械の裏側など、目につきにくい箇所こそ綺麗にしていました。そこで、ス
ペースの無駄や、装置の水漏れや異音など、社内を細かく見て回ることと同様
の効果を得ました。勤務先は私が入社後に新社屋に移転し、ISO9001及び1
4001を取得する変革期にありました。その過程で、場所やものへの表示と識
別、環境への配慮がなされました。任地でも、地球への影響を考慮しながら、職
場の環境を改善し無駄を減らし、生産性や品質の安定を図ります。そして、対象
者の手による利益と収入の向上を目指します。過去に調査、取材の仕事の経験
もあります。企業や個人宅を訪ね、話を聞いたり、自分で調べたりした内容を報
告書にしていました。未知の地域での飛び込みも多ありました。物怖じせずうま
く話を聞きだそうという姿勢で、話をして下さった方に感謝を忘れませんでした。
観察眼や洞察力、内容の整理と物事を客観視する力が養われており、企業の
巡回訪問の際にはその経験を役立てることができます。


(3)この職種に携わる際に想定されるご自身の弱点を記述してください

ークショップ主催の経験がありません。しかし、実務で技術の指導や、ミーティ
ングの司会や発表は行っていましたのでその経験を応用します。また、「日本フ
ァシリテーション協会」の「ファシリテーション基礎講座」で、会議などのファシリ
テーターの方法や役目を学びました。更に「ソムニード」の主催する「対話型フ
ァシリテーション講座基礎編」では、話す方法と聞き方を学び、「答えやすい質問
で、話の聞き方がうまい」と講師の先生から評価を頂きました。


(4)自己PR(希望した職種に関係する経験以外で特筆すべき経験を記述してく
ださい)

健康管理に気を遣い大病、大怪我、入院の経験がなく、永久歯に生え変わって
から虫歯になったことがありません。大学では哲学と宗教を学び、人の考えの多
様性や、宗教、文化に対して理解があります。現在は職業訓練でパソコンを学
び資料作成や、掲示物、発表に役立てられます。趣味の写真では作業前と後の
記録など実務の他、現地の方々を撮影し写真をプレゼントします。オフロードの
単車を運転していたので、要請にも対応します。日本でのボランティア経験を活
かし、日本語を教え、子ども達の遊び相手にもなりたいです。また職種以外の開
発学やワークショップの本も読んでいます。


3帰国ボランティアの体験談や報告書等で心に残るエピソードや、ご自身が実際
の活動に取り入れたいと思うアイデアなどを記述して下さい

言語、人々の気質、考え、文化の相違から考えが受け入れられず苦労したと聞
きます。相手国の価値観を尊重し、受け入れることから始めます。活動報告書を
コピーし、現地に持参することを薦められました。それを参考に現地で実現可能
な適正技術を伝えます。また、ホスト家庭や地域の人々との親睦を深めます。実
務以外でも皆が参加でき、日本や文化を紹介する行事を開催したいです。それ
によって現地の人が日本への関心を持ち、異国への目線が生ずることを期待し
ます。


4実際に派遣された場合どのようなボランティア活動を行うのか活動内容、日常
生活を含めて具体的に記述して下さい

活動が現地の人によって継続されることを狙い、参加者の意識が向上し気づき
や自発性が育つような活動を行います。日本での経験や技術、考えが通用しな
いことも多く、活動は現地の人々の協力なしではあり得ません。また主役は彼ら
で、私はそれを後押しする立場です。私が全て指示を出し作業を行うのではな
、本当に必要なものは彼ら自身が見つけられるような行動を促します。三現主
義で現場を頻繁に訪れるように努めます。それによって配属先の同僚や、対象
者、従業員とのコミュニケーションも図ります。役所と企業間や地域の連帯感を
高めるために会合を開き情報交換を行います。


5帰国後、参加経験をどのように生かしたいか、記述して下さい

海外と関わっていける企業へ就職し、品質管理の仕事に就くことが理想です。
派遣先での活動と帰国後の進路とのズレが少なければ、参加経験を活かすチ
ャンスが増えます。協力隊で得た経験と能力を活かして、人と仕事を管理する
ポジションを目指します。また、在日外国籍の方々の支援にも興味があります。
私が異文化であった経験から、マイノリティにとって暮らしやすい社会の構築の
ための活動をしたいです。更に、体験談や現地で撮影した写真を披露する機会
を得て、多くの人に途上国への関心を持ってもらい、ボランティアや、海外に行く
こと、人と触れ合う素晴らしさを伝えます。協力隊に応募するにあたり既に多くの
方の協力を頂いたので、今後は私が隊員の輩出に一役買うことができればと思
います。
わけもなく海が見たくなる
でも、一人もの思いに耽る余裕はない
気が付くと子供に囲まれている
土地に根を張って生活している人の姿は美しい


















品質管理には魔の「職種別回答」というものがなく、要望調査書に専念できたの
で、今までのような苦労はなかった。
自分が実務で携わってきたことを(正直、かなり盛っているが)いろいろと思い出しながら書くことができた。
ボランティア活動も板につき、そこで学んだこと、出会った人との経験も大いに役だった。1年間の間、努力してきたことが青年海外協力隊員としての肉付きとなったのだとも感じた。
今までいきり立っていた部分を取って、柔らかく素直な感じの文章を心がけた。
よほど、応募者が殺到しない限り、1次試験は通過する自信があったので、変に刺激的なことを書く必要はないと思ったからだ。

職種に関して近い人がいなかったので、シニアの経営管理の人に活動内容を聞
いたり、説明会で知り合ったOVの人に文章を見てもらったりした。


品質管理は1件の要請に対し、応募者はぼく1人しかいなかった。
余談であるが、経営管理は6件の要請に対して10人の応募があった。
最後の賭けに勝ったような気分だった。


書類で落とされることはまずないと、たかをくくっていた。
それでも、さすがに発表の時は緊張したが、予想通り1次試験は通過した。


そして、面接。

午前中から技術面接だった。
品質管理には専門の面接官がおらず、経営管理の受験者の後にいかにも博士といった感じの面接官によって行われた。
牛飼いの男
ただゴミを集めて燃やすだけの集積所
もっとヒリヒリと感情に訴えるような写真が撮りたい



















志望動機
職種
退職理由
実務内容については、少し深く聞かれ、品質保証と品質管理の違いについて若干の指摘を受けた。
それでもぼくがH社関係の仕事に関わっていたこと、10年近くの実務経験から、「大丈夫でしょう。」との答えを貰った。

午後は、人物面接で、これは何故か栄養士と一緒だった。

志望動機
この経歴でどうして3回も受験することになったのか?(今まで、自分に適した要請がなかったから)
品質管理の良い部分
日本と任地では状況がことなることが多々あるが、そこはどのような考え、行動で乗り越えるか
ストレス解消法
帰国後の進路

などを尋ねられた
面接官からも相当熱が入っていますねと言われたり、最後は頑張ってください、とまで言われたので「ああ、もうこりゃ受かったな。」と帰りは半笑いだった。

緊張は準備不足、自信のなさから生じると言われる。
個人的な性格もあるので全てがそうだとは思わないが、自分でも驚くくらいに落ち着いてしっかり自分の考え、経験、希望を答えることができた。

まれに挙がった1つの要請に対して応募者が1人であったことも幸いしていたと思う。
面接自体も、人を絞るための面接でなくて、基本的に合格を前提として一応確認しておきます。といった印象を受けた。


と言いつつも健康面で心配があった。
ぼくはちょっとした持病がある上に、相当痩せている。
極度のやせは合格できないとの噂を聞いていた。
面接日も体重を測らされて、そこでひっかかるのではと最後まで気が気ではなかった。
世界は僕の手の中に
JICAの広報の写真に使えるのではないだろうか















そして、発表の日、PCで自分の合格を確認した。

30
代最後の人生を賭けた挑戦が終わった。
ぼくは、ここまであまりに苦労しすぎて、出すものを出し切って、そこで満足してしまった。

今まで必死で勉強に打ち込んできた受験生が、大学生になった途端に全く勉強
しなくなる現象に近いものかもしれない。

だけど、この浪人期間はぼくにとって実際の活動となる幹のようなものを大きく
育ることができたと思う。

何かを訴えるような強い目をした女の子
おとなしくても写真を撮られることは好きなようだ
















遠回りになったけど大切な時間になったはずだ。
これからの2年間、壁に当たったりモチベーションが下がることもあるはずだ。だけど、様々な理由で協力隊に参加できなかった人や、参加できる年齢ギリギリの試験で不合格となり協力隊への夢がついえた人も知っている。そんな人たちの存在を想うと、簡単に弱音や愚痴を吐くことはできない。

そんな中、ぼくは本当に恵まれている。

その思いで、つらい訓練を乗り越えたし、これからもそうしてゆくつもりだ


彼女も意外に撮られることが好きだった

2 件のコメント:

  1. 初めまして。
    ブログ拝見させて頂いております。

    突然すみません。
    私、品質管理、生産性向上の職種で二次選考を7月に受験する予定です。
    私も品質管理課として働いておりますが、
    派遣国で扱う製品が、現在扱っているものと違いがあります。
    面接での受け答え等のアドバイス頂けましたら有難いです。

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    1. メールありがとうございます。コメントに気づかず大変申し訳ございませんでした。もう面接も終わってしまい、何のお役にも立てませんでしたが、合格を祈っております。もし、今後も何かありましたらいつでもご連絡ください。本当にせっかくご連絡を下さったにも関わらず、返信が遅れてしまったことを重ねてお詫び申し上げます。

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