訓練が修了して、1年が過ぎた。
入所する前は当然のごとく、持って行く荷物の選別に翻弄されていた。
今となって振り返ると何を持って行くかなど、無駄なことにとらわれていた。
何を持って行くかは、自分の価値観で決めるしかないのだけど、ぼくも訓練前はいろいろなブログやサイトを読み漁って参考にした。
ぼくが全ての荷物に触れたら、あまりの長さに嫌になるので何かの参考になれば程度に記しておく、でも長い…
指示のあるものはその通り持って行くが、これだけは言いたい!
スーツと白ワイシャツは、良い物を着ないこと
懇親会などが食堂で行われ、そこはかなり暑く汗と湿気で、スーツの折り目がとれて、スーツにも良くない。おおむね値の張るスーツは、記事が柔らかく薄いために耐久性がない。
最終日の謝恩会もスーツ着用だが、終わったらすぐ帰らなくてはならず、着替えている時間がなかった。
ぼくは、スーツ姿で重い荷物を抱え、急いで帰りのバスに乗り込んだために、ひじの部分が擦れてしまった。
任地にもスーツを持って行かされるが、悪環境の中、長期間着ないままになる。
形状記憶で、ウォッシャブルであれば、気を使うことも少ない。
その手のスーツはダサいとの偏見があったが、良く調べてみるとそれなりのものがある。
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持ち物? そりゃ丸木に決まってるでしょ。 建具にしたり、家具にしたり、燃料にしたり アンタ、ぼやぼやしてるとこの丸太ぶつけるよ!
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黒の革靴
これは皇太子殿下との謁見前に、かなり厳しくチェックされる。ない人は入手して訓練に間に合わせた方が良い。
授業や講座の時間に着る服
事前の書類だと厳しい指示があるが、思ったよりラフでも大丈夫。靴は落ち着いていれば、スニーカーでもOK。男性はTシャツなど襟がないものやパーカーなどはまずい。ぼくは普段着と兼用した。
内訳
ジャケット1
長袖シャツ4
半そでポロシャツ3(紺、黒、白)
セーター1
パンツ4
革靴3(黒、薄茶、グレー)
スニーカー1
ベルト3
授業に着て行ける服だけでこの数はかなり多い。ただ、訓練所内では多くの時間が語学と講座に充てられるので、着回しの意味で枚数はあっても困らないと思う。
休日に着る服
実質的に外出できるのは、土曜日の夜と、日曜日のみなので、あまり必要なかった。くだけた感じのパンツとポロシャツを少し持って行った他は、授業で着る服と兼用した。
「普段着はそんなに要らなかった。」という声を女性からも聞いた。
所内で着る服
入浴後、夕食、ミーティング、部屋などで着る服。この服をあまり持ってなかったのは失敗だった。運動用のジャージと兼用しても良いが、それを避けようとすると結構な数が必要。
リラックスできる感じのものが良く、これを授業用と兼用すると、堅苦しい。
あとは運動用の衣類や靴
27年度2次隊は前半が記録的な暑さだった反面、後半は雨天続きで寒かった。隊次に関係なく、暑さ寒さ対策は必要。
衣類は容量、重量共に侮れないので、他の荷物との兼ね合いで決める。
野外訓練用グッズ
野外訓練はトラウマの一つだ。
防水のジャケット上下、防水のブーツ(長靴も良い)の装備だけはしっかりしたのが救いだった。
楽しいキャンプ気分でなめてかかると痛い目に合う。かなり持ち込めるものが制限されるが、サバイバルだと覚悟して入念に準備をするべき。
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思い出したくもないが野外訓練で大変だったことに水汲みがあった 現地でも本当に大変な作業だと思う アンタ、ぼやぼやしてるとバケツで水引っ掛けるよ! |
自分の職種に使うもの
語学が英語の人はプレゼンテーションやワークショップの授業があるので、本や道具などを持って行った方が良い。図書館で借りることもできるが、望むものがあるとは限らない。マイナー職種の人は必須。
先生によっては、プレゼンでもパソコンの使用を禁止されるので、油性のマーカーを多用した。
模造紙や、文房具は出張販売で買える。
色紙に寄せ書きなど、書き物をするので文房具をいっぱい持っている人は重宝される。
日常で使うもの
洗面用具や、薬類、洗剤や、化粧品の類
早い者勝ちで、数には限りがあるが、洗濯や、お風呂の道具、シャンプー類などは前隊次の先輩が残してくれるので、それを利用しても良い。
薬類は最低限で済むが、虫よけと、虫刺されの薬は必要。
スマートフォン・携帯電話
ぼくは、訓練時は通常の携帯電話とスマートフォンの2台持ちだった。
訓練所は、電波が悪いが、連絡はLINEでのやり取りが多かった。
掲示物の記録は、メモするより写真で撮った方が早い。
持って行ったけど使わなかったもの
大きかったり重かったりすると、厄介
撮影機材
一眼レフのカメラをレンズまでフルセットで持って行ったのだが、ミラーレスを持って行ったのでそれで事足りた。のんびりと写真を撮っている暇もなく、最も無駄だったアイテム群。
趣味の本
読んでいる時間がなかった。
活動に必要そうな本は、訓練所の図書館に充実している。
本以外にも趣味に関するものは、忙しくて使う機会が少なかった。
楽器類は、ギターなどは音楽室にあるが、持参している人もいた。
語学用にレコーダーのアプリをインストールしたが、使わなかった。
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持ち物? 椅子に決まってるでしょ こうやって小さいころから頭に載せて鍛えてるのよ アンタ、ぼやぼやしてるとこの椅子思いっきり振り下ろすわよ! |
買い足したもの、送ってもらったもの
想定外に必要というより、欲しくなるアイテムが多かった
郵便物や宅配便も届けてもらえるので、通信販売の利用価値は高い。
プリンタ
訓練所にも共用のプリンタがあるが、使える時間が限られ、その時間が惜しかった。
夜に自分の部屋で、資料を印刷できるのは便利だった。
寄せ書きに写真を張り付ける際にも使った。
ランニング用の帽子
帽子は、普段用のキャップと、野外用のつばの大きいハットを持って行った。日差しが強かったので、ランニング用の帽子が欲しくなり、買って送ってもらった。
コーヒーセット
最初、一杯使い切りのドリップパックで飲んでいが、飽き足らなくなった。
ドリップ用のセットと、淹れるためのポットを入手した。
コーヒーを淹れる時間は、追いつめられた精神から解放されていたのだろう
お菓子
普段あまり食べないのだが、訓練中は本当に良く食べた。送ってもらっては、至る所で買っては食べた。
それでも体重が減るほど、精神的に追いつめられていたのだろう。
訓練は軟禁に近いが、週に一度出張販売があり、文房具や、お菓子類などが買える。少し離れた場所にはコンビニもあるのでその気になれば授業が終わった後に行って帰ってくることはできる。
細かく書くとキリがないが、訓練の持ち物で、気になった点をまとめた。
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荷物? 鍋一つに決まってるでしょ 水も汲めるし料理もできる 何で鍋を被ってるかって? そりゃ、アンタの攻撃をかわした後にこれで攻撃するためだよ |
二本松訓練所は階段が多く、重量物を運ぶのに適さない
宅配便で自宅⇔訓練所まで送ったりできるが、体育館から居室まで距離があると重労働。ぜひ男子は女子の荷物を持ってあげてほしい、決していいことあるかもと言った下心ではない、協力隊としての活動、ボランティアは既に始まっているのだ。
必要とする物は始まってみないと分からない。
日本にいる限り、本当に何でも手に入る。最初に持って行くものはなるべく少なくし、あとは現地調達する。家族の協力を得られるなら、持って行くかどうか迷った荷物は事前にまとめておいて、必要に応じて送ってもらうことができれば良い。
ただ、70日間の訓練なので、最低限の用意をすれば、何かなくてもそう困ることはない。
飲酒、喫煙、過食、買い物、ギャンブル、世の中には様々な依存症が存在し、そこに溺れる人はきっかけや理由を延々と言い訳し、正当化しようとする。
ぼくの場合、訓練が楽しかった、充実していた、つまらなかった、というよりも、時間と心の余裕がなく「辛かった」という感想が強かった。その思いは訓練が進むにつれ増していった。
そんな境遇のもと、人はどんな行動を取り、場を乗り切るかを思えば、この一見無駄なアイテム群も、やむにやまれぬものだったのかもしれない。
と言っても言い訳にしかならないだろう。