ホームステイを終えて首都アクラに戻ってからも、早く任地に戻りたいという気持ちだった。
人同士の距離が近く、歩いていると誰かに声をかけられる。
「どこへ行くんだ?」「散歩・・・」
こちらでは、目的もなくただ歩くという習慣がないのだろうか。
まだ、ぼくが異文化に対しての好奇心をもっているからかもしれない。
それを失ったとき、必要最低限以外は出歩かないようになってしまうのだろうか。
ハーフアッシニに戻ると早々、カウンターパートが宿を訪ねてきた。
何を言っているかよく聞き取れなかった。
クサいけど行って見てみるか?写真を撮るか?でもクサいぞ。
カウンターパートのフランシスさんは、やたらとクサいを強調した。
それでも、見ごたえのあるものらしい。
ぼくは、スモーキーマウンテンのようなゴミ山が近くにあって、そんなところを紹介してくれるものと勝手に想像した。
ところが、連れられて行った先は海岸で、それは見事な鯨の死骸が打ち上げられていた。ホゲー!!
立派な鯨にも驚いたが、自分の英語力のなさにも驚いた。
死後数日した鯨の死骸 打ち上がった直後の画像はは、もっと青々、黒々していていた |
鯨の周りには子どもたちが集まっていて、くせえくせえと喜びながら駆け回っている。
子どもが汚物をみて喜んだり、クサいとわかっていて嗅いだりするのは世界共通だということを学んだ。
こどもたちはぼくを見つけると、くせえくせえ、いや、ワーワーと騒いだ。
鯨の死骸と、生きているか死んでいるかわからない東洋人とどちらが子供の興味をひいたかは分からない。
だけど、カメラを持っていたのでその時だけは、死んだ鯨よりは注目されたかもしれない。
この鯨の利用方法をカウンターパートに尋ねられた。
正直「食う」以外のアイデアは思いつかなかった。
しかし、死後数日経過し、食べられそうな状態ではなかった。
それと、サメとクジラの違いについても尋ねられた。
大人数人に同じ質問をされたのには驚いた。
そして、次の日の朝、鯨は3隻の船にけん引されて海に葬り去られたそうな・・・
数日後、打ち上がったばかりの鯨の動画を見せてもらった。
子どもたちは鯨の背中に乗ったりして楽しそうだった。
その場に居合わせたらぼくも乗っていただろう、大人げなく。
鯨の周りに集まる子ども? 人間に襲い掛かるゾンビ? このようなグダグダ写真にならないためには? だれか、知っていたら教えてください |
この町には、一人のイギリス人が住んでいる。
いろいろ話をしているうちに、例の鯨のことが話題に出た。
しかし、鯨の話をヨーロッパの人と話すのはデリケートな気がしたので、たいていの日本人は鯨と関わらないことが多いですよぅ。だから、ああいう鯨を見てもどうしたらいいかわからないんですよぅ。
と答えておいた。
元・探偵は見たシリーズ 事件現場の一枚から切り出した ホームステイ先の女の子が鼻をつまみながら逃走している クサいのわかってるんんだから、近づかなければいいのに |
この町に鯨が打ち上がったのは初めてのことなのだそうだが、今年に入ってからガーナの海岸で数件同じような事件が勃発しているそうだ。
真相は不明だが、どうやら海底の油田を発掘するあまり、鯨の生態を脅かしていることも疑われている。
首都アクラのマコラマーケットにて 果物を売る女性 普通に人の写真が撮れるとホッとする |
ぼくは、どちらかといえば捕鯨に賛成という考えという程度なのだが、それよりも、意固地になって捕鯨を阻止や妨害に走る方が問題だと考えている。
食を異文化の目線から横やりを入れることがナンセンスさえ思えるほど、各国各人の食への拘束は強く、それを捻じ曲げるべきでないという考えもある。
もちろん、絶対的な飢餓や健康上の問題は別とするが。
捕鯨が取り上げられ議論され、ニュースになるひずみが、このような偏見につながるのかもしれない。
そして、もし、このような形で犠牲となった鯨がいれば、やはりそれは食べても良いし、その知恵はあった方が良いと思った。
以上、ガーナよりハセガワがお伝えしました。
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