2015年11月27日金曜日

人から必要とされること

職場に赴任して2週間余りが過ぎた。
お恥ずかしい話、実のところこの間ほとんど仕事をしておらず、職場に行かない日も多かった。
新居へは1週間前にようやく移ることができたのだが、その間は郡役所のゲストハウスでのうのうと暮らしていた。

何をしていたかというと、ただ街を歩いて、人と話して、子どもと遊んで、ひたすら写真を撮っていた。


少しおとなしくて
そんな子が一人でいて
自分から撮ってとはいわないけど
撮っていい?って聞くと
う~ん、まあいいかなっていう位が一番きれいに撮れると思う

任地に赴任する前にガーナ隊員と、スタッフの前で決意表明をした。
「~この日本人、ふらふらして写真ばかり撮っていると思われるかもしれませんが~」
といささか冗談めかして話したのだが、早くもその決意の枕となる部分だけは皮肉なほど見事に実行されてしまった。


三年寝太郎は寝ている間にもずっと考え続け、起きるや否や目まぐるしい活躍をしている。
ぼくは一見遊びほうけているように見えても、街を歩きながらもいろいろ観察したり、地元の人との交流を深めたりしている。
今は行動への蓄積期間のつもりで過ごしているが、寝ても覚めても大した活躍はできないかもしれない。
その時、どの面を下げて日本に帰ればいいのか。
(*´σー`)エヘヘでは済まされないだろう。

任地で最初の3か月間は様子を見るようにと言われる。
それでも、最初からダッシュをきかせている人がいる。
他人と比較するものではないが、刺激を受ける反面、焦燥を感じるのも事実だ。

任地に到着後1泊だけしたCaptain Williams Hotel
今のぼくは毛髪を失ってしまい、見るも無残な風貌に成り下がった


職場において、最初の仕事らしい仕事は職場内の機械の写真を撮ることだった。
メンテナンスが必要なために現状の写真が必要なのだという。
補足までに、ぼくの職場は、郡役所の管轄下にあるRural Technology Facility(RTF)というところである。
業務内容は金属の溶接などの加工を施してオーブンや脱穀機を作成したり、そういった技術者を養成するための研修を行っている。

最初に撮った写真を見て、「撮影した機械以外のものが入っている。こんなんじゃ使えない。撮り直して来い!」
実際はこんな厳しく言われたわけではない。
それにしても機械の裏側には使うかどうかわからないものが置いてあったり、機械同士の間隔が狭く、隣の機械がどうしても映り込んでしまう。

機械の位置は移動できないが、まだまだ工場内に余計なものがあるように思える。
ぼくの業務内容の一つに、職場内の5Sを進めるというものがある。
最初は職場を訪れた際に、予想以上に片付いている印象を受けたがまだまだ改善の余地はありそうだ。

撮り直してみたが、どうしても不必要なものが入った写真は、後加工で何とか消すことができた。
かなり時間がかかったが、カウンターパートには満足してもらったようなので面目躍如と言ったところだろうか。

本当は右隣に別の機械が置いてあった
修正するのに相当な時間がかかってしまった

新居は目の前に小中が併設された学校が位置しており、登下校中の生徒たちが呼びに来たり包囲されたりと、楽しいのだけど結構劣悪な環境下におかれている。

子どもとの交流にも興味があったので、その環境を良い方向へと活かすべく、学校を訪問して下見をさせてもらった。
校庭に入ると大勢の子どもたちにが騒ぎ出し、もみくちゃにされたので、いやな予感がしつつも、翌日に改めて授業を見学させてもらうことにした。

誠にいやな予感を感じさせた一枚
カメラを持っているから余計に子どもが集まってくる

そして、翌日。
予感は見事に的中した。

小学校でいう低学年のクラスから見学をしたのだが、教室に入ると一瞬にして混乱を巻き起こし、授業を崩壊させてしまった。

「設備は整っていなくても、子どもたちは真摯に授業に取り組んでいます。勉強ができる喜びと感謝の気持ちをかみしめながら・・・」
といった絵面を写真に収めようという、いやらしいたくらみはもろくも崩壊した。

真面目に勉強をしている子もいる

午後の体育の時間も似たようなものだった。
先生は、仕方ないなという態度だった。

学校のオーナーという女性に
「今のぼくは目立ちすぎます、日を改めてまた来ます。その時には生徒たちのニーズが探れるかもしれません。ぼくが何をしたら良いかもはっきりすると思います。」
ともっともらしい言葉を残して、学校を後にした。

その日の夕方ぼくは海に出かけた
一人釣りをする少年
しっかりと大地に根を張って生きている
人の少ない海と物静かな少年にホッとさせられた

現地の人の役に立つどことか、これでは迷惑をかけただけである。
しかし、子どもたちからはまた学校に来てくれと言われる。
今日も、道を歩いていると中学生の女の子に声をかけられて次はいつ来るのと聞かれたので、生徒には喜んでもらえたようだ。

子どもたちが単純に面白がってくれて、学校生活の中に少しでも刺激与えることができたとすれば、行った甲斐はある。
訪問が回数を重ねて生徒の中でも日常の一環となった時に本当の貢献ができるのかもしれない。
その位、時間がかかることだとも思う。

はしゃがずさわがず、まっすぐな瞳を向けてくれる子も多い



今週末は職場関係の知人の結婚式に参加することになった。
カウンターパートからは、カメラを持ってくるように言われた。

またしても、いやな予感がするのだけど、職場の人たちも、街の人々も、子どもたちも、必要とされているのはぼくではなく、ぼくのカメラなのではないだろうか。













0 件のコメント:

コメントを投稿